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最高裁判所第一小法廷 昭和58年(行ツ)104号 判決 1984年4月26日

仙台市本町一丁目一〇番一二号

上告人

菅原光太郎

仙台市上杉一丁目一番一号

仙台北税務署長

被上告人

鈴木丞

右指定代理人

崇嶋良忠

右当事者間の仙台高等裁判所昭和五四年(行コ)第二号所得の加算税賦課決定取消等請求事件について、同裁判所が昭和五八年五月三一日言い渡した判決に対し、上告人から全部破棄を求める旨の上告の申立があった。よって、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告人の上告理由について

原審の確定した事実関係の下においては、被上告人が上告人の昭和三九年分の所得税についてした重加算税賦課決定を適法とした原審の判断は、訴外株式会社坂東製作所が同年に手形交換所において取引の停止処分を受けたかどうかにかかわらず、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、判決の結論に影響を及ぼさない点につき原判決を非難するものにすぎず、採用することができない。

よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 角田禮次郎 裁判官 藤崎萬里 裁判官 谷口正孝 裁判官 和田誠一 裁判官 矢口洪一)

(昭和五八年(行ツ)第一〇四号 上告人 菅原光太郎)

上告人の上告理由

原判決には理由に齟齬が有り、且つ、判決に影響を及ぼす事明らかなる審理不採用証法則並びに法令解釈違反等の違法があるので破棄又は自判される可きものと思料する。

一、理由不備、審理不尽、採証法則違反

(1) 原判決は、上告人が所得税基本通達二七四の(5)(乙第五号証の弐)及び(甲第一一九号証)五一の一九(5)手形交換所に於て取引停止処分受けた時

五十%の債権償却を不渡り年度の経費を計上出来得る事の主張に付いて次の様に判断した

原判決理由(二)(1)坂東製作所に対する貸倒損失額前段略八行債務者につき破産宣告、会社整理、特別清算、和議、会社更正などの開始決定、手形交換所の取引停止処分、事業廃止又は六箇月以上の休業などのうちいずれかが発生した場合には債務者に対して有する債権額の五十%に相当する金額以内の額を貸倒れとして当該事実の発生した日の属する年分の事業所得の計算上必要経費に算入できるという、いわば部分的な貸倒れを認める債権償却特別勘定の制度を設けている(乙第五号証の二)

しかし、坂東製作所につき昭和三九年中に右のいずれかの事由が発生したことを認めるに足る証拠無い‥‥判示した然し乍ら上告人が(株)坂東製作所に対して割引した甲第五二号証 乃至 甲第六七号証に因る右会社の裏書約手、並びに振出小切手 計拾六枚 額面合計金壱千参拾万円の割引債権全額が昭和三九年度中の支払期日で有り、何れも支払期日に支払場所に於いて支払銀行より支払拒絶され不渡となり上告人が債権を所持して居るもので有る。(甲第五二号証 乃至 甲第六七号証の各弐 参照)

従って、上告人が(株)坂東製作所に対する、割引債権残額九百五拾万円の五〇%四百七拾五万円が昭和三九年度中の経費算入金額で有る事明白に不拘、

昭和三九年度中に何れかの事由が発生した事を認めるに足る証拠が無いとの判示は所得税法第五一条(5)項の政令に因る基本通達五一-一九(5)及び同通達五二-一の(注)の法令解釈を誤った違法が有り、理由不備、審理不尽、採証法則の違反で破棄される可きもので有ると思料する。

以上

(添付書類省略)

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